農産物であるコーヒー生豆は、同じ品種、グレードあるいは生産地であっても納入される都度に性状が異なります。もちろん土壌、気候、栽培方法や収穫時期などの影響もありますが、一般の農産物全てがもつ宿命といえます。そのようなコーヒー生豆を焙煎するためには、それぞれの生豆の熟成度合、水分含有量などを見極め、その生豆の固有特性を最大限に引き出せる焙煎方法を判断することが要求されます。
当店の焙煎は、良質の生豆を厳選し、遠赤外線仕様の直火式焙煎機(5Kg釜)で行っています。使用している焙煎機は、しっかりと豆の芯まで均一に焙煎できるように通常の焙煎機より火力を大幅に高めると共に、味の欠点となる排煙のカブリを制御するために排気効率も大きくとれるように改良してあります。焙煎能力を高めた(=コントロールできる範囲を拡張した)焙煎機を取り扱うには、特段の焙煎技術が要求されます。しかし、能力が高いだけにきめ細かいコントロールが可能となり、焙煎者がイメージした珈琲豆に作り上げることが容易になるという特徴があります。
いい焙煎とは何か?当店は、豆がもっている本来の特質をしっかりと引き出し、イメージした味わいに作り上げることだと考えています。また、焙煎という作業は、焙煎する者の個性や好みが大きく関係しますが、焙煎する者のイメージとお客さまが求めている味のイメージが大きく乖離してしまっては本末転倒です。お客さまのご意見にも耳を傾けながら焙煎技術を向上させたいと考えています。
当店の焙煎は、後工程となる抽出作業を考慮して取り組んでいます。しっかりとした味わいを得るためには、注いだ湯が珈琲豆の果肉相当部分の隅々までしっかりと浸透してエキスを抽出できなければいけません。そのために、豆の芯までしっかりと熱を通し、微細な孔構造をもつ「ふっくらとした豆」に仕上げるようにしています。大きいひび割れだけがあり、表層面だけ炒り上がって膨れているようでは味わいがあるエキスを引き出すことを望めません。当店の焙煎した豆を指先で割り、破断面を観察してください。当店の努力の結果がご覧いただけます。当店が自信を持ってご提供する珈琲豆をご家庭で是非お試しください。